特集・インタビュー

世界最高水準の国産iPhone用レンズtokyo grapher誕生の裏側とは?

2018. Oct. 31

BY seta

hintosではこれまで数回に渡ってご紹介しているiPhone用アタッチメントレンズの国産ブランド「tokyo grapher(トウキョーグラファー)」。世界に誇る高品質なレンズシリーズを展開する同ブランドが誕生したのは2015年のことでした。

当時すでにスマートフォンに取り付ける外付けレンズは数多く販売されていましたが、iPhoneのカメラ特性をとことん考え尽くして、その性能を真に生かすことができる製品と呼べるものは世の中にひとつとして存在していませんでした。そこに挑戦したのが、光学製品メーカーとして長年の歴史を持つ株式会社コゾフィルタースが立ち上げたiPhone用アタッチメントレンズのブランド「tokyo grapher」なのです。

tokyo grapher「Zero-Distortion WIDE LENS PRO」(税別¥12,000)。iPhone標準カメラの焦点距離を0.66倍に広げながら、歪みやケラレなく撮影できる高性能ワイドレンズ

一眼レフにも劣らない高性能なiPhoneのカメラ性能を「最大限」に活かしながら、画角を変えて多彩な表現を楽しませてくれるtokyo grapherのレンズたち。その誕生までには、前例のない挑戦への大きな困難があったと言います。tokyo grapherは一体どんなこだわりと想いのもとに生み出されたのか、そして今後どのように進化していくのかを聞きました。

お話いただいたのは、株式会社コゾフィルタース代表の石川晃さん、同社営業部の山家武史さん、tokyo grapherブランドのアンバサダーを務める田口貴弘さん(@tak_tag)と鎌田風花さん(@fuka_09)です。

写真左から、田口さん、石川さん、風花さん、山家さん

tokyo grapherを製造するコゾフィルタースさんでは元々どんな製品を作られているのですか?

石川氏 「弊社は元々、一眼レフのカメラレンズに取り付ける“レンズフィルター”をOEMで製造しております。世界中にいろいろな産業がある中で、カメラ製品は非常に日本企業が活躍している業界で、日本製品がとても有利だという特別な市場なんですね。そういった市場の中で、弊社も“日本製”の高品質な製品を世界中に届けているんです」


レンズフィルターは、わずか数ミリの厚みのガラスに奥深い技術が詰まった非常に高度な光学製品。国内で製造している会社は実は数社しかありません。

レンズフィルターからiPhone用のレンズへ、という新たな挑戦のきっかけはなんだったのでしょう?

石川氏 「以前からレンズの仕事をやってみたい、自分の会社のオリジナルブランドを出してみたいという想いを持っていました。僕はスケートボードをやっているんですが、スケートボードをしている友人たちには自分の得意分野を活かして様々なオリジナルブランドを作っている人が多いんですね。そういう活躍を見ていて、じゃあ自分にできることってなんだろう?と考えた時に、やっぱりレンズだということに思い至りました。中でも誰にも身近なiPhoneというのはどんどんカメラ性能が進化していますが、その性能に見合う品質のものがこれまでに全くないじゃないかということで、そこに挑戦することにしたんです」

tokyo grapherというブランド名に込められた意味を教えてください

石川氏 「コゾフィルタースは東京の板橋区を本社とする会社です。板橋はかつてレンズの産業で有名な町でしたが、今ではほとんど光学の会社がいなくなってしまいました。そんな東京・板橋から新たに生まれたメイドインジャパンのブランドということで、ブランド名に『tokyo』を掲げ、世界に届けていこうという思いがありました」

前例のない開発にあたってはどういった難しさがあったのでしょうか?

石川氏 「まず私たちがレンズを作るにあたっては、“レンズ設計士”というプロフェッショナルの力が必要でした。レンズ設計士は通常は大手のカメラメーカーの中にいる人たちで、彼らが外に出てくることはほとんどないんです。tokyo grapherの開発にあたっては運命的なご縁があり、オリンパスを定年退職後にフリーで活動していた木村正資さんに設計を依頼することができました。それでも一度作っただけで成功はしませんから、何本も作ってすべて設計からやり直したということもあります。また、数多くあるレンズの素材からどれを使うべきなのかですとか、iPhoneの携帯性やデザインを損なわずに最大限の性能を出せる一番小さいギリギリのサイズの追求という部分でも実現は大変でした」

右のレンズはtokyo grapherと画質面でよく比較されるという米国momentのレンズ。価格面は同等なものの、並べてみるとtokyo grapherのレンズ(左側)がいかに小さく薄く設計されているかがわかります。

田口氏 :「一度作ったあとも、iPhoneの新しい機種が出ればそれについていくためにこちらも対応していかなくてはという大変さもありますよね。一方で、iPhoneのカメラ性能が上がっていくということはその利用頻度も高まるということですので期待もしています。実際新しいiPhoneに関しては、カメラ性能がすごく上がっていますので、写真はもちろんtokyo grapherを使って撮るという動画需要についてもどんどん増していくと思います」

巷には安価なスマートフォン用アタッチメントレンズもたくさん出ていますが、tokyo grapherは何が違うのでしょうか?

石川氏 「安いものは、例えば『ただ単に画角が広がっているだけ』といったようなレンズなんですね。iPhoneはどんどん進化しているのに、そんなおもちゃのようなレンズを取り付けてしまってはマイナスになってしまいます。僕たちのレンズは、iPhoneの持つ画質や色味、階調といった特徴に特化してきちんと設計していて、全く異なるものです。どこの企業でも、この値段で作ってねと言われる中でなんとかして作るというのが普通ですが、ほんのちょっとお金を足すだけでもっといいことができるという技術は世の中にたくさんあります。それが色々な理由で削られていくと、せっかくの技術力が世に出ないままになってしまう。非常にもったいないですよね」

▽撮影結果の比較画像(出典:tokyo grapherの技術を結集したレンズ構成

iPhone6+他社製ワイドレンズでの撮影例。全体にもやっとした写りで細かい部分は潰れてしまっている
iPhone6+tokyo grapherワイドレンズでの撮影例。くっきりとした色味で細い線までが忠実にとらえられている

田口氏 :「tokyo grapherのレンズは、一眼レフのコンバージョンレンズと同等のクオリティのものです。さらにサイズが縮んで技術的にもすごく難しくなっていて、製造コストが非常にかかっています。今の製品価格(代表製品のZero-Distortion WIDE LENS PROの場合で税別¥12,000)は直販でなんとか販売ができるギリギリのラインのため販路が限られてしまっているという課題がありますが、一眼レフ用レンズに匹敵する性能の製品をこの価格で手に入れられるというのはすごいことでよ」


山家氏 :「構造的にも大きな違いがありますね。一般的に安く売られているものは、一番下が共通のマクロレンズになっていて、レンズを重ねるとフィッシュアイ風になったりちょっと広角になったりという1〜3枚ぐらいの構造のものです。そうすると低コストに作ることができるという反面、それらは光学的な性能はほとんど最適化されていないんですよ」

tokyo grapherレンズの構造。製品ごとにさまざまな材質や形状の光学ガラスを組み合わせ、そのレンズのためだけに精密に設計・加工されています。

iPhoneカメラの性能を活かした「最高の画質と解像度を実現する」というこだわりは、長らくカメラのレンズに取り付けるフィルターを製造してきたコゾフィルタースならではと言えます。その品質の高さは、実際に使ってみるとカメラやレンズの素人であっても驚くほどに実感できるものです。

続く後編(明日11月1日公開予定)では、tokyo grapherの女性アンバサダーである風花さんを交えてtokyo grapherの活用シーンやユーザーとして実感している魅力についても語っていただきます。

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